1. 未来遺産運動

平成21年12月、公益社団法人日本ユネスコ協会連盟により「第1回プロジェクト未来遺産」登録を受けて以来継続しています。運動名は「孟子不動谷生物多様性活性化プロジェクト」とよびます。

①和歌山県立向陽中学校理科部

平成22年4月より継続しています。最初の3年間は、「森林性鳥類調査」「水田の生き物調査」の2項目の調査を行っていましたが、4年目以降は「鳥類」「トンボ類」「チョウ類」「両生爬虫類」「ほ乳類」の5項目を1年1項目ずつ調査してデータ取得を行い、モニタリングデータを蓄積していっています。

②もうこさとやまクラブ小学生(土曜チーム・日曜チーム)

指定管理者として運営させていただいていた「海南市わんぱく公園」で行っていた「わんぱくクラブ」と抱き合わせで実施していた未来遺産運動(小学生の部)は、指定管理契約がなくなる2024年度から、ビオトープ孟子単独の取り組みとし「もうこさとやまクラブ」と改名して継続実施していきます。 毎月第4土曜日に(土曜日チーム)、第4日曜日に(日曜日チーム)がそれぞれ活動します。2024年度のクラブ員は、2024年3月に募集を行い土曜日チーム10名、日曜日チーム10名が登録を終えています。各自研究テーマを設定し1年間、孟子不動谷で自然観察を行います。活動の様子は都度「お知らせ」にアップしていきます。

③もうこさとやまクラブ幼稚園(土曜チーム・日曜チーム)

幼稚園チームも海南市わんぱく公園の指定管理がなくなったタイミングで「もうこさとやまクラブ」としてリニューアルします。小学生チーム同様土曜チームと日曜チームが組織され、土曜チームは毎月第2土曜日、日曜チームは毎月第2日曜日に活動します(6月にはユネスコ&ダンロップ株式会社による「チームエナセーブ未来プロジェクト)」の一環の田植え体験を行います)。クラブ員は小学生チーム同様、土曜日チーム10名、日曜日チーム10名で3月末に登録を終えています。

④こがねぐも相撲大会

同会設立当初よりアドバイザとしてご助力をいただき、孟子不動谷を観察フィールドとして真正蜘蛛類の調査をしていただいていた県下随一の真正蜘蛛類の研究者・東條清先生(故人)が、2000年7月、孟子不動谷で第1回大会を開催したことにより開始したこども伝統文化です。400年以上の歴史を有し、「ユネスコ未来遺産2018」に登録された鹿児島県姶良市加治木町くも合戦保全会と協働関係を構築しながら継続しています。平成21年12月、孟子不動谷が第1回ユネスコ未来遺産登録されたことを機に「未来遺産運動」の一環として開催しています。2024年度からは、実施場所を孟子里山公園に移し、「もうこさとやまクラブ」と連携させた形で実施する方向で企画中です。

⑤調査研究活動(大学生・大学院生)

和歌山大学を中心に調査研究活動を行っています。卒業論文及び修士論文については、大学紀要等に毎年掲載されていますし、平成27年~29年に地球環境基金助成で行ったトンボ調査は南紀生物に投稿しています。 2024年度は、和歌山大学教育学部1名、システム工学部大学院1名が卒論研究及び修論研究を行っています。 今後は、和歌山大学に限定せずさまざまな機関に調査研究を依頼し、同会の自然再生活動の価値を高めていこうと考えています。

2. 里山保全活動

①水辺ビオトープ管理活動

「1号池「2号池」「北原池」「黒江小学校池」「3号池」「きみひろ池」「ふゆみず・なつみずたんぼ」とそれぞれ命名した浅水性の水辺ビオトープを掘削・管理しています。水辺ビオトープは、定期的なメンテナンスが必要なのに加えて、近年では人為的移入動物・イノシシによる掘削害がひどく、地球環境基金、フィランソロフィーバンク補助金、コスモエコカード基金等助成申請を行いながら毎年修復作業を行っています。孟子不動谷は、かつては谷奥まで水田耕作がなされていましたが、農業従事者の高齢化と担い手不足により耕作放棄地が増加し、稲作水系が寸断されつつあるので、水辺ビオトープ管理は孟子不動谷の稲作水系の保全と、そこにすむ豊かな生物群集の保全に不可欠なものです。

②無農薬稲作

水辺ビオトープ管理用に地権者より借用した耕作放棄地の一部を水田として活用し、無農薬稲作を行っています。完全無農薬農法により稲作を行い、収穫できた年には販売も行います。 無農薬で水田を行うことにより、カヤネズミ(ねずみ科)、アキアカネ(とんぼ科)、カトリヤンマ(やんま科)など、近年中山間地の水田の放棄により減少している水田由来の生物たちの保全が実現しています。

③炭焼き

ビオトープ孟子には「炭焼きチーム」が組織されています。かつてはクヌギ(ぶな科)にこだわり、茶道に使用する「菊炭」を専門に焼いていましたが、平成28年より世界遺産登録地・高野山奥の院御廟用黒炭の生産を行うようになりました。林野庁の助成を受けながら、孟子不動谷内の雑木林を間伐し、里山特有の森林性生物の嗜好環境である明るい落葉広葉樹林を形成すべく林相調査を行いながら間伐を行い、間伐により出た材を材料にして黒炭の生産を行っています。

3. 動植物調査

孟子不動谷で継続している上記の里山保全・復元活動により、そこに生息する生物がどんな状況であるかを「健康診断」するために、毎年モニタリング調査を行っています。

①鳥類調査

孟子不動谷内を踏査し、出現した鳥類を記録する形でデータ取得をしています。年間40~50回調査を行っています。調査時に撮影した写真の一部は「孟子の生き物」のページで適宜公開を行っています。

②昆虫調査

チョウ類及びトンボ類は、年間40~50回現地踏査し、適宜採集を行いながらルートセンサス調査を行いデータ取得を行っています。調査時に撮影した写真の一部は「孟子の生き物」のページで適宜公開を行っています。

③両生爬虫類調査

2月~3月に産卵を行うニホンアカガエル(あかがえる科)、セトウチサンショウウオ(さんしょううお科)の卵塊数は、毎年カウントを行いデータ蓄積を行っています。また、鳥類調査、昆虫調査同様、年間40~50回センサス調査しています。調査時に撮影した写真の一部は「孟子の生き物」のページで適宜公開を行っています。

4、和歌山県及び市町村委託事業

和歌山県及び市町村より委員等の委託をさまざま受けながら行政業務のお手伝いをさせていただいています。

①和歌山県立自然博物館アドバイザ

和歌山県立自然博物館の鳥類専門のアドバイザーとして活動させていただいています。 (アドバイザ名)有本智(理事)  (専門分野)鳥類

②和歌山県環境学習アドバイザ

和歌山県環境生活総務課が管理している和歌山県環境学習アドバイザに登録させていただいています。 (アドバイザ名)有本智(理事)  (専門分野)鳥類、両生爬虫類、昆虫類等自然観察系の環境学習の講師

③和歌山県自然環境部会

和歌山県自然環境室が主催している和歌山県自然環境部会の委員として活動させていただいています。 (委員名)   有本智(理事)

④有田川町文化的景観検討委員会

有田川町三田の蘭島(あらぎじま)が、文化庁主催文化的景観指定を申請する際に設立した委員会です。 (委員名)   有本智(理事)  (背景)申請時の動物調査を担当その後、動物調査の補足等

⑤下津/有田みかんシステム世界農業遺産推進協議会

圃場周辺の生物多様性調査事業を、県立自然博物館と協働で受託

⑥和歌山県緑化功労賞審査員

(審査員名)  有本智(理事)

⑦紀の川河川環境保全モニター(国交省近畿地方整備局)

(保全モニター) 有本智(理事)