地域の宝、100年先へ

生きもの

テングチョウ(たてはちょう科)。今年も6月に大発生!

テングチョウ(たてはちょう科)

孟子不動谷でのテングチョウ(たてはちょう科)新成虫
の大発生は、ここ数年孟子の「恒例トピックス」になり
つつあります。10数年前、紀ノ国森づくり基金の助成
を受けて、谷奥の休耕田にムクノキを大量に植栽したも
のが樹林に育っているのがその要因ではないかと推論し
ていますが、実際のところよくわかりません。
今年5月の幼虫の大集団は有本が孟子で観察を初めて以
来最大級のすざまじいものでした。ムクノキが2本、テ
ングチョウ幼虫の大群に葉を食い尽くされ、枯死する寸
前まで行ったのです。このまますべての蛹が羽化したら、
孟子観測史上最高個体数のテングチョウの大群が不動谷
内を飛び回ることになったでしょうが、そこに「救世主
」が現れたのです。チョウが好きなサンコウチョウだけ
でなく、普段はシャクガの幼虫を好むシジュウカラやヤ
マガラなども、今年シャクガの幼虫が異常に少なかった
のが幸い(?)してテングチョウの蛹をヒナの餌に捕食
してくれたので、数100頭とほぼ「例年通り」の大群に
なりました。テングチョウ新成虫の大群は、1~2週間
滞在したあといずこかへ渡り去りました。

カワヂシャ(ごまのはぐさ科)孟子初記録!!

カワヂシャ(準絶滅危惧)

入口の水田が数年前から耕作放棄地になっていま
す。この耕作放棄地のポテンシャルは非常に高く
、タコノアシ(たこのあし科・和歌山県絶滅危惧
Ⅱ類)、ミナミメダカ(めだか科・和歌山県準絶
滅危惧種)、ヒクイナ(くいな科・和歌山県絶滅
危惧Ⅱ類)、ツチガエル(あかがえる科・和歌山
県準絶滅危惧種)、ニホンアカガエル(あかがえ
る科・和歌山県絶滅危惧Ⅰ類)が確認されている
のですが、今回カワヂシャ(ごまのはぐさ科・和
歌山県準絶滅危惧種)の自生も確認できました。
カワヂシャは、休耕田や河川敷などにごく普通に
生える湿地性の草本ですが、近年特定外来植物・
オオカワヂシャ(ごまのはぐさ科)の増加などに
伴い、各地でその個体数を減らしています。

ヒクイナ(くいな科)

ヒクイナ(絶滅危惧Ⅱ類)

孟子不動谷でビオトープ孟子が里山保全活動を開始した
1998年からずっと、少数ながら谷内に渡来している
のは認識していました。休耕田にできたガマやヒメガマ
の湿草地や、イネが育った水田で繁殖しているらしく、
時折夜に囀りが聞けたり、軽トラに轢かれた死体を拾っ
たりしていたのですが、なかなかその繁殖確認ができな
いでいました。
それが平成29年、とうとう雛連れの写真を撮影するの
に成功しました。数年前から耕作放棄地となっている入
口の水田がその「現場」です。この耕作放棄地は非常に
ポテンシャルが高く、孟子で唯一のタコノアシ(たこの
あし科・和歌山県絶滅危惧Ⅱ類)の自生地であるだけで
なく、カワヂシャ、ツチガエル、ミナミメダカ等、和歌
山県RDBに記載のある動植物の生息・自生が確認され
ています。最初は4月末に孟子不動谷入口に住む森さん
がヒナ連れの家族を観察されており、それから1か月た
った6月中旬、有本もヒナ連れの家族に出会ったという
訳です。
ヒクイナは万葉集などに「戸を叩く水鶏」として詠まれ
るなど古くから里山の夏の風物として親しまれるほどご
く普通の鳥でしたが、近年里山環境の悪化・環境の単調
化に伴い全国でその数を激減させています。今回孟子で
確認されたヒクイナの繁殖は、とても貴重な記録である
と言えるでしょう。

ミヤマカラスアゲハ(あげはちょう科)

ミヤマカラスアゲハ(あげはちょう科)

 かつては山地の涼しい谷間に自生するキハダ(みかん科)
 の葉を幼虫が食べて育つ山地のチョウとして知られていま
 したが、近年標高の低い里山で見られるようになってきて
 います。孟子不動谷でも、1999年8月に1頭採集されて以
 来毎年春型も夏型も見られるので、完全に土着しているも
 のと考えられます。写真は夏型で、後翅の白いラインが完
 全に消失しています。
 

ネアカヨシヤンマの産卵を5年ぶりに確認

DSC_9766

ネアカヨシヤンマ(やんま科)は、和歌山県レッドデータ
ブック絶滅危惧Ⅱ類に指定されている希少種で、孟子不動
谷では黄昏摂食群飛のヤンマの群れの中でほぼ毎年目撃さ
れているものの個体数は少なく、産卵や羽化の確認記録が
ごく少なくて、確実に孟子に土着しているかどうかもよく
わかっていない種類です。
平成28年 7月16日(土)、地球環境基金助成の和歌
山大学トンボ調査の際に、とんぼ池で♀の産卵を確認しま
した。産卵中の♀を目撃したのは5年ぶり、産卵のシーン
が撮影できたのは初めてのことでした。

WANTED! クマタカ(たか科)

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和歌山県レッドデータブック絶滅危惧ⅠB類に指定されている県下最大の
森林性の猛禽類です。紀伊山地や和泉山地で点々と繁殖が知られています
が、孟子不動谷にような低い丘陵地形の場所には本来生息していません。
それが2003年4月、当時海南高校の学生だった藤田昂己君が大旗山上空を
旋回飛行する成鳥を目撃しました。藤田君の識別能力は確かだったので後
日、県下でクマタカの生息調査をしている友人に話したところ、かなり驚
かれ「若いフローター個体が漂行したのだろう」という結論に達していま
したが、2013年1月3日、とんぼ池上空を飛翔する成鳥を、私(有本)が目
撃したのです。最初に藤田君が確認してから10年が隔たっており、フロー
ターの可能性もありますが、今回の個体は羽衣の特徴から推察しても成熟
した個体であったので、もしかしたら周辺で営巣?という疑いももちつつ
観察を続けています。孟子に自然観察においでの方々はクマタカが出現す
る可能性が少ないながらあるので、注意して観察してみてください。

ウラナミアカシジミ(しじみちょう科)

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ビオトープ孟子が活動を開始した1999年当時は、不動谷にたくさん
見られましたが、その後個体数が減少し、成虫の姿が見られなくな
っていましたが、2015年に延命地蔵東側のクリ畑のクリの花に飛来
している成虫を久々に確認し撮影したのがこの写真です。
平成26年度から3年継続で「花王みんなの森づくり基金」をいただい
て、クヌギの若齢樹の植樹活動を地道に継続していますが、そのモニ
タリング対象がこのウラナミアカシジミなのです。
ウラナミアカシジミは和歌山県レッドデータブック準絶滅危惧種に指
定されており、県下に南紀地方に住むウバメガシ食いのナンキウラナ
ミアカシジミと、紀北地方に住むクヌギ食いのウラナミアカシジミの
2亜種が知られていますが、孟子は亜種ウラナミアカシジミの産地と
して、「和歌山県レッドデータブック初版」に記載されているため、
なんとか個体数を回復させたいと「森づくり基金」を始めた経緯があ
ります。
久々に本種が確認された2015年に続き、2016年も花王みんなの森づ
くり基金でクヌギを植樹したエリアでの飛翔や交尾が確認されてお
り、今回の事業を行って本当に良かったと喜んでいます。

ミドリシジミ(しじみちょう科)

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天堤池直下に付属湿地に自生しているハンノキを幼虫の食餌植物
として発生するシジミチョウの仲間です。
写真は♀で、オレンジ色の斑点と青色の斑点が混在する♂のB型です。
和歌山県レッドデータブック準絶滅危惧種に指定されています。

アカショウビン(かわせみ科)

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2016年5月、アカショウビンのつがいが1週間ほど孟子不動谷に滞在しました。
「ピョロロロロ」という特徴的なよく通る声でなきかわしながら、不動谷上空を
飛び回る姿を観察することができました。写真はその折に撮影したものです。
今回は残念ながら抜けてしまったようですが、いつの日か孟子不動谷で巣立ちヒ
ナの姿を観察してみたいものです。