令和5年4月29日。県立向陽中学校理科部のモニタリング調査活動が開始されました。今年度はチョウの生息調査を行います。今年度から若干調査方法を変更しました。今まではどの調査メニューもセンサス(目視)データを中心に取得していましたが、両生爬虫類、チョウ、トンボは部員の皆さんが採取したものをデータ取得するように変更しました。鳥類と哺乳類は採集することができないので目視データをとるしかありませんが、その他のデータを採集データに変更することにより部員全員が調査に参加している実感が持てると考えての変更です。目視データとなるとしっかりとした識別力を持った人(僕)に依存が強くなるので、調査に参加している実感が薄れると思うのでしばらくはこの方法での調査を続けてみようと思います。4月調査では、ヒメウラナミジャノメ(たてはちょう科)の第1化時期に重なったこともあり23頭採集できました。つづいてベニシジミ(しじみちょう科)8頭、スジグロシロチョウ(しろちょう科)3頭、モンシロチョウ(しろちょう科)2頭、キタキチョウ(しろちょう科)2頭、ヤマトシジミ(しじみちょう科)、アゲハチョウ(あげはちょう科)、アオスジアゲハ(あげはちょう科)、ツマグロヒョウモン(たてはちょう科)が各1頭でした。部員の中には捕虫網の使い方に慣れていない子が結構いたので、すばしこい「あげはちょう科」が少ないのは仕方ないのですが、しろちょう科の個体数が少ないのが気になる結果でした。孟子不動谷は無農薬稲作を実践したり、水辺ビオトープを管理しながら里山保全を継続していますし、とても十分とは言えませんが高茎草地の面積が拡大しないように定期的に草刈管理しているとはいえ、かつて農業が盛んであったころには程遠い状況ですし、不動谷周辺はどんどん耕作放棄地が増加しています。そのような土地利用の変化に伴い里山の昆虫類にも影響が及ぶのはごく普通の事象となりつつあります。今年1年チョウを採集することで、里山環境の変化を実感することができたら、部員の皆さんはこれ以上ない素晴らしい学習になると考えています。