(特)自然回復を試みる会 ビオトープ孟子/孟子里山情報

ビオトープ孟子 里山を守り後世に伝えるために
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孟子里山情報

孟子不動谷だより

160の瞳(平成21年4月24日)

ありもと@孟子です。。   みなさんこんばんは。。。

本日、わんぱく公園に6:30に出勤いたしました。

というのは、今日は、孟子に「出張」だからです。
恒例の向陽中学の生徒80名の来訪を受けるということ
で、9時に孟子に行かねばなりません。


そういうわけで、パートの子たちに業務を引き継いだり
しなければならないので、いつもより30分早く出勤した
というわけです。


孟子の林とちがって、なかなか夏鳥が入らなかったわん
ぱくの森ですが、今日は朝から、キビタキ、オオルリ、エ
ゾムシクイ、コルリが合唱をしています。
このうち何種がそのまま留まって繁殖してくれるかはわ
かりませんが、とりあえずようやく、夏鳥たちが「なだれ
込ん」で来ました。

いつものようにゲートの施錠を解き、トイレを見回り、風
の子館の施錠を解き、風の子館入口のホワイトボードに
確認した鳥を「今朝の鳥」として書き込み・・・

そして8:30
出勤してきたパートの子たちに今日の業務を引き継いで
そのまま一路孟子不動谷に向かいます。

9:00
孟子不動谷到着です。

孟子不動谷ではツブラジイの花が咲き出しました。
わんぱく公園でも昨日から咲き出し、クリの花にそっくり
の、独特のにおいが漂っていますが、孟子不動谷でも、
咲き出したのでした。

いろいろな緑に彩られた孟子の雑木林からは、夏鳥たち
の囀りが響きわたっています。

ピューリ ココインジ ココインジ  と キビタキ
ピールリ ピーリリリ ホイッピリーリーリー ジュクジュク
                     と オオルリ
焼酎いっぱいグィーッ!       と センダイムシクイ
ヒッチーキィー             と エゾムシクイ
シーシーシーシー           と ヤブサメ
ヒリリ ヒリリ              と サンショウクイ ・・・・・

初夏を思わせる麗かな陽気の下、夏鳥たちの奏でるオーケ
ストラに、気持ちも一気に華やぎます。

丸嶋さんと住野さんもスタンバってくれています。
今日は80名の「大所帯」を受け入れるので、25~30名
のグループ3つに分けて、3名の講師の間でローテーション
する形で講座を行う予定なのです。

丸嶋さんはイネの比重選と苗代作り
住野さんは菊炭の炭切り作業  をそれぞれ受け持ってくれ
る予定です。

そしてありもとは・・・里山について3つの題目を、3グループ
に1つずつお話することにしています。

しゃべる内容を頭の中で整理しながら、歩くコースを歩きます。

マダケ藪周辺では、コサメビタキがとてもよく囀っています。
ここでは昨年も幼鳥が出たので、たぶん今年も営巣するでし
ょう。

アサヒナカワトンボが羽化のピークです。
そこここで羽化したばかりの新鮮な成虫がハラハラと弱弱し
く飛びかっています。

オグマサナエ、フタスジサナエ、タベサナエのコサナエ3兄弟
は、もうどれも成熟♂が出て、めいめいの羽化水域周辺でナ
ワバリ占有を開始しています。

上空をサシバが飛ばないかと気にしますが、姿はありません。
夏の小鳥たちの盛況ぶりとは裏腹に、タカの定位が遅れてい
るのでしょうか?

アマドコロの花数が、一気に多くなっています。
キンランの蕾も、膨らんでいます。
キツネアザミの花も開花を始めました。

足元を弱々しく飛びかうセセリチョウは、ダイミョウセセリです。
白い紙の切れ端のように、イシガケチョウが舞っています。

カワラヒワの夫婦が、巣立ったばかりのカワイイ巣立ち雛を連
れています。

鳥も、虫も、そして、花も・・・
季節はどんどん初夏へと移ろっていきます。

9:50
黄色い歓声が近付いてきました。
いよいよ「160の瞳」の到着です。

総勢80名・・・・  流石に多いです。

引率の先生に伴われて、80名の元気な中学2年生たちが、孟
子不動谷に到着しました。

先ほどまで夏鳥たちのコーラスで賑やかだった孟子不動谷は、
今度は中学生たちの黄色い歓声で、一気に賑やかになりまし
た。

丸嶋さん&住野さん&ありもとがそれぞれ自己紹介し、いよいよ
講義の開始です。

丸嶋さんは丸嶋無農薬水田で、苗代作りをしてくれます。
稲の「比重選」という元気な籾を選別する方法から説明し、実際
裸足になって泥田に入り、苗代床に苗代を植栽します。
農協で苗代を購入する農家が多い中で、孟子不動無農薬米は
毎年苗代床を作ります。
苗代床というのは、シュレーゲルアオガエルやトノサマガエル等
4月下旬から産卵を開始するカエルたちにとって、とても重要な
水環境を創出してくれていたのです。

現在、ダルマガエルとトノサマガエルあの混生地で種間交雑が
多いのは、苗代床を作らないため、トノサマガエルの産卵時期
は遅れて、ダルマガエルの産卵時期とオーバーラップするよう
になったためだと言う人もいます。

昔はごく普通に行われていた稲作の営みが、ちょっと変わると、
そこを住処としている動物に、大きな影響があるのです。

住野さんは、菊炭の炭切りをしてくれます。
孟子の菊炭は、クヌギにこだわった炭です。
今は茶道関係者のみのシェアになっていますが、昔は宮中でご
く普通に使用された炭でした。
北野上地域は、昔から、シイタケのほだ木等に有用なクヌギを
好んで植栽する文化があったので、クヌギ林が周辺にたくさんあ
ります。
そういう地目的特徴もあっての孟子菊炭なのです。

向陽高校環境科に進学が決定している彼等にとって、里山管理
作業を実際その手で行う経験は、何冊の本を読むよりも、大きな
、そして有用な、経験になるはずです。

ありもとは3チームに、それぞれ、違った3つのテーマを「授け」ま
した。

まず1チームは、とんぼ池での観察です。
今オタマジャクシの状態の、ニホンアカガエル。
そして今、ようやく産卵のために水辺に降りてきた、トノサマガエル
、ヌマガエル、シュレーゲルアオガエル。
稲作のリズムに応じて産卵を行う彼等は、稲作の工程に見事に合
致した生活リズムを構築しています。
そして数日前、北原理事長が草刈をした状況を説明し、草刈という
作業は、一見自然破壊のように見えるが、決してそうではなく、大き
く蔓延る力の強い高茎草本を刈り取ることで、草たけの低い、多様
な低茎草本に自生ニッチを創生する結果になることを説明しました。
水田の畦を草刈するのは、稲作作業を円滑に行うために他ならな
いのですが、その作業によって、水田周辺の草地は、さまざまな種
の一年草たちの多様な草原として維持されてきた経緯があります。
そのことをまず、1チームには伝えました。

続いてのチームには、「さまざまな緑」の意味を伝えました。
クヌギ、コナラ、ネジキ、タカオカエデ等の落葉広葉樹。
ツブラジイ、アラカシ、ネズミモチ等の常緑広葉樹。
里山の雑木林は、そんなさまざまな樹種が数多く混交しているの
で、芽吹きのこの時期「さまざまな緑」になります。
里山の林は、「薪炭林」と呼ばれます。
つまり炭を焼いたり、薪をとったり、落ち葉を掻いて堆肥を作ったり・・
そうやってさまざまな森の栄養を、「持ち出し」て「荒らした」経緯があ
ります。
そのことで、森の中の土壌が痩せ、一年中緑の葉をたたえる常緑
広葉樹は少なくなり、半年(秋冬)間、葉を全部落として休眠する、
落葉広葉樹が多い林として変貌をとげました。
それが和歌山県北部の薪炭林の特徴です。
孟子不動谷の林に、落葉広葉樹が多いのは、そのためです。
別の角度から見ると、落葉広葉樹は寒冷地型の樹木、常緑広葉樹
は温暖地型の樹木という見方もできます。
林からさまざまな資源をもちだし、土壌を痩せさせた結果出来上が
った薪炭林独特の落葉広葉樹林は、「氷河期」に平地に広がった森
の形態であるという見方もできるのです。
里山の落葉広葉樹林独特の種というのは、換言すれば、氷河期の
生き残りという見方もできるのです。
オオムラサキ、ギフチョウ、カンアオイ・・・・
和歌山県から絶滅してしまったり、絶滅危惧種であったりするこれら
の動植物は、薪炭林が放置され、そこに昨今の温暖化の影響を受
けて植生遷移が一気に進み、周辺の里山が落葉広葉樹優占から、
常緑広葉樹優占に一気に変貌することによって、その姿を大幅に減
らしたという見方もできるのです。

そして、最後のチームには、天堤池の堤で、わらび摘みをしてもら
いました。
その後、堤に腰をおろしてもらい、北野上地方になぜ溜池が多い
のかについて、説明しました。
北野上地方を流れる貴志川は、最も低標高地を流れるとともに、
貴志川の河床は極めて低く、そこを流れる水を利用すあるのは並大
抵の苦労ではありませんでした。
ですから多数の溜池を作り、そこに雨水や沢水を備蓄することで、
稲作や畑作を行ってきたのです。
今腰をおろしている堤は、土だけでできています。
土だけだと、水で簡単に崩壊して、堤防が切れてしまいます。
それを予防するために、堤防にはたくさんの草を生やしました。
草の根が、土を堤、縛りつけるようにして、崩壊から守ってくれる
のです。
でも樹が生えてはいけません。
なぜはら、樹の根が太く、逆に堤防の土に隙間を開けて、水を漏ら
してしまいます。
ですから昔から、溜池の堤は、定期的に草刈を行い、樹が生えるま
で植生を遷移させないように管理したのです。
そのおかげで、溜池の堤には、キキョウ、オミナエシ、スズサイコ、
ワレモコウ、ツリガネニンジン等の、多様な草地環境が維持されて
きたのでした。
今、堤防を崩壊から守るには簡単にコンクリート舗装します。
でも昔の人々は、雑草までも「資源」とみなし、その根の力をも利用
して、土地活用をしてきたのでした。

この3つのテーマによって、彼等に伝えたかったのは、いま、里山
独特の動植物が絶滅の危機に瀕しているのは、ただ単に自然破
壊とか、環境破壊とかが原因ではないということです。
人間の土地利用の仕方が変貌したこと。
人間の経済活動の仕方が変貌したこと。
そのことが、根本的な原因であることを知ってほしかったのです。

堤防の崩壊を回避するのに堤防に雑草を生やす土地利用
堤防の崩壊を回避するのに堤防をコンクリート舗装する土地利用
この2つの土地利用で、そこに自生する植物相は一気に変貌する
でしょう。

殆どの人が農業を行っていた時代
殆どの人が背広を着て町に働きに行く時代
この2つの時代を比較すると、後者の時代には水田や畑地が一気
に放棄されて行きました。

このように「土地利用」「経済活動」の両輪の変貌で、里山の環境
は大きく変貌したのです。

かなり難しい問題ですが、環境を志す彼等にはぜひ、知っておいて
欲しいメッセージだったのです。

15時
めいめいに楽しい思い出を胸に、160の瞳たちは帰路につきました。

久々に、心が熱くなった、孟子での一日でした。
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
<鳥類>
キジバト、コゲラ、ヒヨドリ、サンショウクイ、モズ、セグロセキレイ
キセキレイ、ツバメ、ビンズイ、ツグミ、シロハラ、ウグイス
エゾムシクイ、オオルリ、コサメビタキ、キビタキ、エナガ、ヤマガラ
シジュウカラ、メジロ、ホオジロ、アオジ、カワラヒワ、シメ、スズメ
ハシボソガラス、ハシブトガラス、アオゲラ、センダイクシクイ
クロジ、カイツブリ、ヤブサメ
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
<両生爬虫類>
シマヘビ、ニホンカナヘビ、トノサマガエル、ヌマガエル、アマガエル
シュレーゲルアオガエル、ニホンアカガエル、ウシガエル
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
<昆虫類>
アサヒナカワトンボ、タベサナエ、オグマサナエ、フタスジサナエ
シオカラトンボ、シオヤトンボ、オナシカワゲラ、クビキリギス
ヒメギス幼、ヤブキリ幼、トゲヒシバッタ、ヒシバッタ、ハネナガヒシ
バッタ、ツチイナゴ、キスジゴキブリ、マルカメムシ、ハリカメムシ
ホシハラビロヘリカメムシ、シマアメンボ、アメンボ、ヒメアメンボ
マツモムシ、オオヨコバイ、ツマグロオオヨコバイ、シロオビアワ
フキ幼、クロヤマアリ、クマバチ、セイヨウミツバチ、ニホンミツバチ
ハキヒメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、オオスズメバチ
ビロードツリアブ、ホソヒラタアブ、キリウジガガンボ、キイロホソガ
ガンボ、ヒロバカゲロウの一種、ヤマトシリアゲ、モンシロチョウ
スジグロシロチョウ、モンキチョウ、キチョウ、アゲハチョウ、クロア
ゲハ、ウラギンシジミ、ルリシジミ、ベニシジミ、ダイミョウセセリ
コチャバネセセリ、テングチョウ、コミスジ、アカタテハ、イシガケチ
ョウ、ヒメウラナミジャノメ、クロコノマチョウ、サトキマダラヒカゲ
タケカレハ幼、フタホシシロエダシャク、チャドクガ幼、オオミズアオ
ウリハムシ、ヒメクロオトシブミ、モモブトカミキリモドキ、ヒメスギカ
ミキリ、ヒメジョウカイ、カクムネベニボタル、ミズスマシ、オオミズマ
シ、マメゲンゴロウ、ナナホシテントウ
@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@@
<花>
スズメノテッポウ、カズノコグサ、スズメノカタビラ、カラスビシャク
スズメノヤリ、アマドコロ、サルトリイバラ、キンラン蕾、ツブラジイ
スイバ、ギシギシ、ハコベ、ウシハコベ、ノミノフスマ、ミミナグサ
オランダミミナグサ、ウマノアシガタ、タガラシ、キツネノボタン
テンダイウヤク、タネツケバナ、イヌガラシ、ナズナ、ミチタネツケバ
ナ、カマツカ、ヘビイチゴ、ゲンゲ、ウマゴヤシ、カラスノエンドウ
スズメノエンドウ、カスマグサ、カタバミ、イロハモミジ、クロバイ
タチツボスミレ、ナガバノタチツボスミレ、ヤブジラミ、モチツツジ
ヤマツツジ、カキ、マルバアオダモ、ヒメツルニチニチソウ
キュウリグサ、トウバナ、タツナミソウ、ジゴクノカマノフタ
ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、トキワハゼ、マツバウンラン
オオバコ、コバガマズミ、オオジシバリ、オニタビラコ
カンサイタンポポ、セイヨウタンポポ、ハハコグサ、チチコグサ
ハルノノゲシ、ノアザミ、キツネアザミ、ヒメジョオン、ヤブタビラコ
ニガナ
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投稿者:ビオトープ孟子|投稿日時:2009年04月24日 22:21||

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